「ゆめ、おはよう!」
「真知子、同じクラスだったんだ。」

笹山真知子は違う中学校出身で、入学説明会の際に偶然仲良くなった子だった。
私の様子を見ると、心配そうに顔を覗き込んできた。

「なんか、顔赤いし調子悪いの?」
「熱、出しちゃって。8.6分あるの」

小さな声で呟くと驚いた顔をして、すぐに腕を支えてくれた。

「入学式に災難だね。式始まるまで机で休んでな。私が体育館連れてってあげるから。」

お礼を言いながら、席に連れてってもらうと、すぐに顔を伏せた。
クラスに知った顔がいた事に安堵しながらも、初日にこんな調子では友達を作り損ねてしまうかも知れない。
元々一人が好きじゃない自分にとっては、最低な高校生活初日だった。