しばらくすると、人波の中から夏希が戻ってきた。

「だめだ、クラス離れちゃった。あたしが5組で、夢埜は6組だったよ。」

お互い寂しさで少し落ち込みながら、同じ廊下に並ぶ教室まで夏希が送ってくれた。
私のクラスの前まで着くと、少し心配そうな表情で私を見つめた。

「大丈夫?体育館行く時、こっち来ようか?」

優しい夏希の言葉にできる限りの笑顔で、首を横に振る。

「それくらい大丈夫だよ。」

まだ少し心配そうな顔をしながらも、夏希は自分の教室に向かった。
後ろ姿を見送り私も自分の教室に入る。

黒板に張られた座席表を見ると、そこに見覚えのある名前を見つけた。
振り返り視線を泳がせると、一人の女の子が笑顔で声を掛けてきた。