最寄駅に着くと、少し急な坂道が伸びていた。
そこをまっすぐ5分ほど歩けば、今日から3年間通う高校の校舎が見える。

つい半月ほど前まで通っていた中学校と比べると、倍はありそうな広いグラウンドに人だかりが出来ている。

私の体調を気遣い、夏希がクラス発表を見に行ってくれる。

少し離れた人気のない植え込みに腰を下ろして、人の波を見つめる。
さすがにいろんな地域から集まっているだけあって、見ているだけでも想像力を掻き立てられそうな人がたくさんいた。

これからの高校生活は、自分には想像もつかない未知の世界。
大きなもめ事や面倒事を避けて、無難に過ごせればそれで良かった。