荒くなっていく呼吸を整えながら着替えていると、玄関の呼び鈴が鳴る音が響いた。
しばらくすると、ノックの音が響いてお母さんが顔を覗かせる。

「夏希が迎えに来てくれたよ。もう出れるの?」

一緒に行こうと約束していた幼馴染が迎えに来てくれたようだった。
鞄を持って頷くと、お母さんと一緒に玄関に向かう。
靴を履いて立ち上がると、肩を支えてもらいながら外へ出た。
その様子に気付いた友人の榊原夏希が、大きな目をさらに見開いて掛けてきた。

「ゆめ、どうしたの!?」

私が答えるより先に、お母さんが説明してくれる。

「この子風邪ひいたみたいで、ちょっと熱が高いのよ。夏希、申し訳ないけどこの子連れてってやってね。」
「そうなの…。分かった、任せといて!」

ピースサインを見せる夏希に、お母さんが笑顔を返す。
今度は夏希に支えてもらいながら、家を出た。