「諒さーん?そろそろなんか言って下さいよー。」
「暁、いい写真撮れるようになったな?そろそろ、人物写真もいいんじゃないのか?」

突然の諒さんの言葉に、息が詰まった。

そんなあたしの様子には気づかないフリを決め込んで、笑顔で話し続ける。

「人物写真は難しいけど、何事も挑戦しなきゃ先には進めないし、だいたいお前は先生の」
「やめて下さい!」

自分でも驚くほど腹の底からの大声で遮った。
一瞬にして荒くなった息を、ゆっくり整えて静かに口を開いた。

「今は、今はまだ。ちゃんと段階を踏みたいんです…」

作りきれない笑顔が、ただ顔を歪めていく。

「暁」

今度は諒さんが厳しい口調になった。