「これ、何の写真…?」

言葉さえ吸い込まれていくようで、胸がいっぱいになった。

「ああ、それは向こうの夜空だよ。向こうは夜空が黒じゃなくて深い藍色なんだ。今回はフランスに行ってたんだよ。」

どうして?
この人はどうしてこんなすごいモノを、平然と撮ってしまえるんだ?
本当に、息を呑んだ。
ただ黙り込んで写真をじっと見つめていると、頭の上から声が聞こえた。

「今日もなんか撮りに行ってたんだろ?見てやろうか?」

かけられた言葉に勢いよく顔を上げると、自然に笑顔になった。

「本当ですか!?諒さん長い間いないからなあ。今日は季節物ってことで、桜を撮ったんですよねー。」

まくしたてるように興奮気味に話していると、一瞬寂しい笑顔を見せるとそっと頭を撫でられた。
その仕草を不思議に思いながら、笑顔で言った。

「さー、あたしん家行きましょ!」