フィルムがなくなるまで写真を撮って家路についていると、背後から名前を呼ばれた。

振り返ると、短命だった父の友人の息子でプロカメラマンとして活躍している岸本諒がいた。
当時最年少だった18歳でプロの仲間入りを果たし、現在は二十歳という若さで風景写真中心のカメラマンとして世界中を飛び回っている。

「あれ、諒さん。こんな早い時間に何してんすか?」
「お前ねぇ、女の子なんだからその喋り方やめろよ。」

苦笑いを浮かべながら言うのを、笑顔でかわす。

「仕事終わって成田から直帰したから、その帰りなんだよ」
「今回は何処行ってたんですか?」

問いかけに鞄の中から数枚写真を取り出して見せてくれる。