あたしが泣いているうちに、大野さんはキッチンからお皿とフォークとグラスを持ってきて、お皿にケーキを取り分けていた。

グラスにはシャンパンが入っていた。


「──落ち着いた?」

「はい。また泣いたりしてすみません」

「オレの前でなら構わないけど、他の男なら追い返されるかもな。そんなことよりケーキ食うぞ」


そう言って、大野さんはケーキを食べ始めた。

そしてあたしも一口。


「美味しい!」

「クリスマスケーキっていうより、ただのショートケーキだけど、美味しいだろ?」

「はい」


ショートケーキで十分だよ。