「最近、好意を示されてたことは、何となく気付いてたんだけど」

あたしは黙って大野さんの話を聞く。

「で、今日の昼頃、焼き肉の後2人で過ごしたいってメールがきてさ。大人数でいた方が楽しいよって交わしてたんだけど、ちっとも怯まなくてね」

更に大野さんは言葉を続けた。


「どうしようかと思ってたら、水谷が帰る姿が見えたから、水谷を送って自分も帰るって口実を作って抜け出してきたんだよ」

「でも、かおりちゃんって可愛いですよね? 好意を持たれて嬉しくならないですか?」

「気持ちは嬉しいけど、オレ神戸って苦手なんだよ」

「へぇ」

「いいか? このこと絶対誰にも言うなよ?」

「言いませんよ」


これは誰にも言わない方がいい。

万が一、かおりちゃんの耳に入ったら……。

大変なことになりそうだもん。