「何やってるんだか」

そう言って、あたしの斜め前に座っていた、大野さんがクスクス笑っている。

見られてたなんて、ね……。

あたしも由美子も顔を見合わせて笑った。

それからすぐに大野さんが席を外した。


「──ねぇねぇ、もえ、大野さんみたいな人はタイプじゃないの?」

「へっ?」


由美子が唐突なことを言い出した。


「どう想う?」

「どうって……」

「誠実そうじゃない? それに優しいし面白いし。あいう人を選べば絶対大事にしてくれると思うんだよね」

「だったら由美子がつき合えば?」

「あたしはただのファンでいいの」

「何、それ?」


本当、勝手なんだから。