「ぷっ」

かおりちゃんは吹き出した。

「あの、あたしが大野さんのこといつ好きだって言いましたか? キスは酔った勢いですから。昨日は純粋なお見舞いです。だからライン飛ばされるようなことは一切ありませんから!」

「そう。オレの勘違いなら良かったよ」

「あたしここで社内恋愛するなら、高給手取りの大卒の事務職の人を選びますから」

「それは賢い」

あたしは黙って、貴広とかおりちゃんのやりとりを聞いていた。

かおりちゃんが精いっぱいの強がりを言っているのが分かった。

「大野さんそろそろ帰ってもいいですか? 勘違い男と話してても時間の無駄ですから」

「あぁ。それもそうだな。悪かったな。呼び止めて」