「もえ…」

「あたしと元カノを重ねたりしないでよ!」

何だかふいに泣きたくなってくる。

「悪い。ごめんな」

「あたしはどこにも行かないから。信じてよ…」

「本当ごめん。もえのこと信じてるよ。過去にとらわれておかしなこと口走ってた」

そう言って、貴広はあたしの肩を抱き寄せる。

「オレさその彼女と別れてから、職場恋愛はこりごりだって思ってた」

「うん…」

「だから、同じラインの子は特に無意識に恋愛対象から外してた。でもそれも間違いだったな。もえの良さに早く気づきたかった。そうすればもえはあんな二股かけるような男と出会わずに済んだかもしれないのに」

「あたしも早く貴広とつき合いたかったよ」

もう何度そう思ったことか。