この日は大きなトラブルもなく、いつもと変わらない感じで1日が過ぎて行った。
そう。何事もなく仕事を終えて貴広の家に帰るつもりでいたのに…。
帰りに思いがけない出来事に出くわしてしまったんだ。
それは、帰り道が反対方向の由美子と会社の前で別れてすぐのことだった。
一台の見覚えのある車が路駐していることに気付いた。
あたしがその車の脇を通り過ぎようとした時、クラクションの音が鳴り響いた。
思わず体を止める。
まさかこの車──…
あたしの予感は的中。
車の中から出てきたのは竜くんだった。
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