「トサッ!!」
いた…くない。
私、まだ死んでない!!!
え、じゃぁ誰が…。
私は上を向いた。
男の子?
男の子が私をお姫様だっこしていた。
「あっぶねー! ギリギリセーフって感じ?」
その男の子は私に微笑みながら言った。
その瞬間、私は胸がドキンとした。
この感じはよくわからないけど、顔が熱くなるのがわかった。
あ、お礼言わなくちゃ。
「あ、あの…」
お礼を言うまえに、彼は私を地面にたたせた。
「大丈夫か?」
「あ、はい。あの…」
どうしよう。顔が見れない。
さっきからドキドキしまくりで。
「野宮ー!」
「大和ー!」
「ほーい! じゃぁまたな!」
そういって、彼は去っていった。
お礼…言えなかった。
でも、わかったことがひとつある。
彼の名は…
「野宮…大和…?」
なんだろう。心のなかで、何かがざわついている。
何かがダメだと叫んでる。
その人に近づいてはいけないって叫んでる。