「『友紀重い。疲れる。全然話も聞きもしねェ。せめて別れ話ぐらい、聞いてほしい』…って!」
『……ッ』
心が、ズジンとダメージをうける。
なんで?
なんでそんな事言うの、亜優。
やっぱりあたしは彼女じゃなかった?
そう思った。
当然だ。
言われてもおかしくない。
だって本当にあたしは疲れさせるようなことしてる。
そうとも思った。
でも
ちゃんと亜優の口から聞きたい。
そう思った。
「ひどくないですか?あゆくん。橘さんが落ちぶれる程苦しんでたって言うのに。ですよね?」
『…お気遣い、どうもありがとう。もう戻っていい?』
「もう、せっかちですね。じゃぁ最後に、みんなから」
『皆?』
「はい。みんな、です。……『亜優君と橘さん、別れた方がいい。亜優君、最低になってるし。橘さんが可哀そう。でもなにより―――』」
なにより―――――?
「『似合わない』って」
『………誰から?』
折れそうな心をたてなおして、聞く。
「日岡 菜喜さんです。お友達だったですよね?…クス、橘さんの周りって、ろくな人いないですね?」
彼女の笑いが、あたしを限界にさせる。
『全部知ってるような事言わないで!!亜優の事、教えてくれたのは菜喜なんだよ?友紀と亜優君、似合いそうって。そんな事も知らないで、ひたすらあたしを苦しめようとして、周りの人まで侮辱しないで!!!』
あたしがそう言う。
それでも矢代さんは―――クスリ、と笑った。
「人は変わるものですよ。あなただってあゆくんだって変わる。あゆくんが変わる前に、別れた方がいいなって思うんですよ、瑛美。だって、変わったあゆくんをおさえられるのは、瑛美くらいしかいませんから」
「ホントお前の作る話ってリアルだよな――――――矢代」
クスクスと笑ってる瑛美さんの後ろから、声が現れた。