何秒かの時間が流れた。あたしはもうこの思いを抑えきれない。
「あたし、聡司が・・・」
「由佳。だめだ。」
あたしはまた涙があふれた。
「どうして・・・」
「それ以上言ったら、だめだ。俺の思い上がりならいいけど、もし俺の頭の中にある言葉と同じ言葉だったら、今は言っちゃだめだ。」
「聡司・・・。あたしのこと、ただの従妹にしておきたいの?」
聡司はしばらく黙っていた。
あたしにとって拷問の数秒が流れた。
「馬鹿だな、由佳は。ただの従妹だと思ってたら、ふたりで蛍を見に来たりしないよ。
由佳が婚約を解消した日だって、迎えに行ったりしなかった。」
低い声で聡司は絞りだすようにそう言った。