あるとき、器具室をしめる鍵が無くなっていた。
聞く相手は君しかいなかった。靴を脱いで片膝をたてて座っている君に声をかける。
「あの、ごめんなさい」

靴の靴紐を解く手が止まり、無表情のまま君が上を向く。
本当に綺麗な顔だな、なんて今更なことを思っていた。
手の震えが止まらず、ぎゅっと手を握る。
「器具室の・・かりっ!か、かぎ、ってどこにあるか、・・知ってますか・・」
もう時間を巻き戻したかった。
ああ、絶対変だと思われた。終わったー!!