大事な…ひとり娘、だ。

断れない見合いは、単なる顔合わせに過ぎなくて。

嫁入りは、決まったようなもの。


嫁入りの決まった、その大事なひとり娘を、いわば傷物にしようと、している。


たかが、自分が。



自分のくみする組織は、反社会的で。

きっと、きっと。


古式ゆかしく、指を無くすくらいのことでは済まない、はずだ。

それはもしかしたら、由紀も同じかも知れない。


話を薦めた笠島龍司の顔に、泥を塗ることに、なるだろう。

たとえ相手の男が、妻となる彼女の、男性経験の有無を気にしなかったとしても。




何故ならば由紀は。
由紀の心は。

決して、見合い相手に傾く事はないのだから。