「……すみません、こんな…遅くに」

「……いえ」



俯いたまま、あれから何日も目を合わせてくれなかった由紀の声を、久しぶりに聴いた気がする。


普段、飲酒の癖はないけれど。

ここ数日眠れずに、仕方なく嗜んでいたウィスキーのグラスを、慌てて片付けようと手に取った、所へ。

いきなり、体当たりするように飛び込んできた由紀の体を、反射的に受け止めた。




「……ど…うなさいましたか」



「…………抱いてください」

「…………………」

「抱いてください!」



何日かぶりに見上げられた視線は、ひどく思い詰めていて。

睨み上げているようにも、見えた。