そこ、座って。
テレビのリモコン、これ。

冷蔵庫にペットボトルの烏龍茶あるから勝手に飲んでて。


必要以上にテキパキと雅を座らせた佑二は。

じゃあシャワー浴びてくるから、と吐き捨てるように呟いた。



部屋を出るときに、ちらりと振り返って見た雅は。

兄貴の世話する熱帯魚の水槽に、もうすでに、釘付けだった。




そういえば、いつもいた付き人はいないんだろうか。

クビになったんだっけ?
受験があるから休業中だっけ?



じゃあ、ひとりで来た?

…帰りは?
兄貴が送って行く?

迎えが来るまでお預かりか?





「……めんどくさいねぇ…」


メールくらい寄越せばいいし、大声で呼んだって良かったろうに。