「………あれ? 学生じゃないんだ?」


「違うよ、花屋に勤めてた」

「ふぅん…辞めたの?」



…うん。
………辞めたよ。

続けたかったけど、いられなくなっちゃったから。






「………イクラ…」


………………
……何なんだよ!!

イクラがどうしたって言うんだ!!

今、私、あなたの質問に答えたよ!?




「強烈に食いたくなった。奢るから付き合え」


「……や、いいよ…まだお金あるし」


「無職にイクラは無理」

「イクラしか無いわけじゃないでしょう!?」




ほんと、この赤、おかしい!

歌って無いとき、マジおかしいよ!!




「でもイクラ旨いから」

「………う…うん」




半ば強引な気がするけれど。
赤い髪のボーカリストは。

我が儘な音を出す金髪のギタリストに。

ちょっとイクラ食ってくる、先帰ってて、と、声をかけた。