「打ち上げは?」

「…っ…!」



「……なに」


「ぃや…ちょっと驚いたの」




その日も、赤い髪のボーカリストは、私の背後から、声を掛けてきた。


今日もこの人は、女の子に囲まれていて。

なんとなく気が沈んでいた、矢先のこと。





「…いつもメニュー同じだから…ちょっと飽きた。今日も帰るね。次は…また来週?」




「…イクラ、好き?」

「え?」



イクラ?

いや…私、次のライブは来週か、って訊いたんだけど?





「………やっぱ耳遠いの?」

「………………」




なんだこの赤。
歌ってない時は変な奴だな。



「…別に…嫌いじゃないけど」


あれ高いし…
今、無職だから、最近食べてないかも。