赤い髪の人の…歌をね。
聴きに行ってるよ。

あの人の歌が、好き。

ついでに他も聴くけどね。



そう答えたら、彼は。

わずかに、眉のピアスを上げて、私の様子を窺ったようだった。



赤い彼の持つ、アイスクリーム。
ブラッドオレンジのピューレが混じった、チョコレート。

私の買って貰った、ミントチップの混じった、チョコレート。




「チョコレート、好きなの?」

「割と」

「私も」



パッと見の、地味なアイスクリーム。

なんとなく、あまり笑わない彼が、チョコレートのアイスを掬うのが可笑しい気がする。




「蜜」

「はい」



呼び捨ては、別に気にならない。

ただ、赤い髪のボーカリストが呼んでいる、という現象が、とんでもなく緊張するだけ。





「次も、俺だから」