妙に明るい、店内。

真っ赤な髪の、背の高い彼は、眉と唇とに、ピアスをしていて。

こんなに近くで向かい合ってるのが、とても緊張する。




「…名前」

どうして知ってるのかと思って、そう呟いた。





「…蜜…じゃなかったっけ?」

「……そうだけど」


蜜だけど。
なんで、知ってるの?

どうして、約束あるなんて、嘘吐いたの?



…彼女、は?

なんで置いて来ちゃったの?





私は、色々と訊きたい事を、言い出せない。

ちゃんと、顔を見れない。



この人は、私を欲しがるだろうか。
私から、この人の歌を取り上げるだろうか。


この人、は…。





「…いくつだっけ?」

「……私?」

「うん」

「19」



19か…、なんて眉間に皺を寄せた彼は。

…いつも、どれ聴きに来てんの?と。


あらかじめ質問を決めていたかのよう、だった。