「じゃあ…2個」
「あと5個は磯部巻きね」
「七味いっぱいでよろしく」
私の作るお雑煮。
角餅を焼いて、お椀に入れて。
結んだ三つ葉と、海老ひとつ。
そこに、鶏肉とお醤油の入ったお出汁を注ぐ、だけ。
「あ~……旨いな」
「ほんと?」
哲は最近、美味しい、と口に出してくれるようになった。
熱いお雑煮をすする、という姿が似合わない、哲の容姿。
赤くてちょっと長い髪で。
高い背丈なのに、すっと伸びた背筋。
最近知ったんだけど、部活は剣道部だったとかで。
確かに、ちょっとした動作がキリリとしているなぁと、納得したっけ。