「…唇、まだ冷たいですね」
瞼に落とすキスに、心地良さげに目を閉じた雅が、ふいに腕に力を込める。
少し開いたままの雅の唇が、凱司の唇を食むように、小さく吸った。
意志のある、初めてのキス。
思わず目を見開きかけて、凱司は。
すぐに離れた唇を、追い求めた。
「……下手くそが」
聖夜に相応しからぬ劣情が走ったが、せっかくの“ファーストキス”が台無しになってしまう。
凱司はゆっくりとリズムを刻みながら、雅の唇を色づかせていく。
とんでもないガキに惚れた。
吐息が、途切れ途切れに官能的で。
テレビから。
女の満足げな含み笑いが小さく流れ、ソファーからは白いアザラシが転がり落ちる。
凱司の刻むキスのリズムに、徐々に応え始めた雅を。
一生離してやれないかも知れない、と。
そう、思った瞬間に。
時計の針が。
真上を向いてカチリと。
Best wishes for Christmas.
願わくば。
誰もが、幸せを感じることができますように。
~fin~