「なんにも、いらないですよ」
「そうはいかねぇ」
雅からは、絵葉書をもらった。
終業式でもあった今日、前に鷹野と行った輸入雑貨の店へ行ったらしい。
金色で縁取られた濃い緑色に、小さな赤い林檎の飾られた、クリスマスツリーの絵葉書。
「…何が欲しいか言え」
ちらりと時計を見た雅が。
じゃあ、あと5分、と囁いた。
唇の触れそうな距離で、凱司の青灰の目を覗き込み、申し訳なさそうに、首を傾けた。
「あと、5分…こうしてくれてると、…嬉しい」
あと少しで日付けが変わる。
それまでの5分間。
雅に首を抱かれ、雅の頭を抱く。
額にキスを。
瞼にキスを。
慈しむように、愛しむように。