「悪かったな…ひとりにして」
他の夜ならいざ知らず。
クリスマスイブの夜に。
「大丈夫」
頬に触れた雅の手が、温かい。
撫でるように滑る指先が、首の後ろに回された。
…寝ぼけ、てんだよな?
額と、額とを合わせた。
「…何も、用意してねぇんだ」
テレビからは、女が宝石をねだる声が聞こえてくる。
「用意?」
「…お前に、何をやったらいいのか、判らなかった」
そう正直に言えば、雅は首に回した手にわずかに力を込めて、嬉しそうに、溶けるように、笑った。