「……雅」
手に持った青い紙袋を床に置き、そばに座り込む。
雅の睫毛に残る涙に、臓腑を握られたような後悔が襲った。
泣く位なら、ゴネればいい。
そんなに寂しいなら、電話を寄越せばいい。
意思表示を、すればいいんだ。
寝かせておいてやろうか。
だけどこのままじゃ、ひとりで泣いたままで終わってしまう。
「雅」
アザラシを抱く腕に、力が入った。
何も掛けていないから、寒いのだろう、小さく膝を折り曲げた。
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