「……その大事なもんって、鷹野一樹じゃないよな?」 恐る恐る口を開いた克己の、撫でていた頭を思い切りひっぱたき、凱司は、くるりと踵を返した。 外は青い光が溢れている。 その鷹野はまだ帰らないはずだ。 まだ、ひとりでいる。 友達の誘いがあったとかなかったとか、何日か前に言っていた雅が、ひとりで。