「ええ~…、じゃあ、どっちがいいと思う?」
たくさん並べた中から、2つを引き寄せ、あくまでひとりで決める気はないのか、克己は凱司を振り仰ぐ。
白ワインを3本空けて。
ほぼ2人分の料理を平らげて。
クリスマスイブの夜に、母の異なる兄を呼ぶ。
いつまでも手の掛かる。
「どっちの方が似合いそうなんだ?」
並んでいるのは、ピアス。
迷いなく克己が指差したのは、ダイヤモンドの粉をまぶしたような球形に、小さな緑色の石がひとつ。
「なら、それだ」
「…喜ぶと思う?」
いつまでも子犬のような克己。
天真爛漫で、時にその牙で傷つける事もあるだろう。
叱られたそれのように眉を下げた克己の金髪を、くしゃりと撫でた。