「…高価すぎんだろ」
克己の前に並べられた品は、どれも高価な物ばかりだった。
凱司も金額には無頓着な方だが、克己はそれを上回る。
着ているものの値段を見たのかも知れない店員の判断は、ある意味正しい。
「ゼロ、ひとつ多い」
21歳の、ただ想いを寄せるだけの女にやるには、重いにもほどがある。
「そうかなぁ」
「そうだ。こんなもんやったら突き返されて終わりだ」
雅なら、喜ぶどころか、真っ青になって怒り、自分にそんな価値はないと泣くだろう。
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