小さなハートのモチーフに、小さな石がひとつ付いている。
赤。
色調も透明度も様々なそれは、小さなペンダントヘッド。
このくらいならば、いいかも知れない。
雅に、似合う気がする。
鷹野のやったプラチナに、付けるだろうか。
それとも、あれに手を加えるのは嫌だろうか。
一度は取り上げた、プラチナ。
あのまま返してやらなければ良かったかも知れない。
あのままあの場で抱いてしまえば、結果は違うものになっていたのかも知れない。
「兄貴、これどう?」
手招きした克己に我に返り、凱司はため息を吐くと、奥に向かった。