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黒ずくめの宝石店は、金色の光にぼんやりと照らされていた。

ねだられて足を運んだのか、お揃いで指輪でも買おうというのか、二組のカップルが、楽しそうに、静かに、ショーケースを覗き込んで笑い合っていた。





「なぁなぁ兄貴、リングじゃ重いよな?」


克己はすっかり買うつもりになっているのか、店内を翔ぶように見て回る。


「克己。落ち着け。迷惑だ」

「はーい」



ぐるりと店内を一周してきて凱司の隣に立った克己も、時計を気にする凱司も、金色の照明に、キラキラと華やかに映る。


店員が、静かに声をかけ、人懐こい笑顔を浮かべた克己を奥に誘導した。


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