「駄目って事も…ねぇんじゃねぇか?」
きっと、雅はこの白い硬い箱に入ったケーキを喜ぶ。
美味しそう、ではなく、綺麗だと笑うだろう。
ことのほか、果実の色に弱い気がする。
チェリーパイの、フィリング。
ヨーグルトムースに乗った、ストロベリージャム。
パンケーキにかかった、キウイソース。
「きっと、このチーズケーキの赤いソースも喜ぶ」
「…えぇ? これ?」
克己は怪訝そうに白い箱を見やった。
これ、喜ぶかなあ、と半信半疑な様子の克己に、思わず苦笑した。
意外と、真剣じゃねぇか?