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「……思い切り嫌がられてんじゃねぇか」


「いや!そんな訳ないし!きっと初めてで緊張したんだ」




…緊張でカッターナイフを出してくる“初めて”の女がいるだろうか。

凱司は、ふと、部屋に置いてきた少女を思った。

アレの“初めて”は13で強奪された。
カッターナイフなど出す余裕などなく。




「初めて…って、いくつの女だよ」

「21」


凱司の皿も、克己によってクレソン1つ残らずに綺麗になる。

克己はワインを飲み干すと、タイミング良く現れた、無表情なウェイターに、ジュヌヴリエールください、と声を掛けた。


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