私、思うのだけれど。

髪、確かに可愛く軽く、なってるんだけど。
真ちゃん、と呼ぶのも構わないのだけれど。


私。
私。

もしかしたら……今日見た、敷居の高そうな…料金も高そうな美容院に、行かなくて済む………のかな?




「真ちゃん」

「お」


よし呼べたな、とばかりに、浴室に落ちた私の髪を集めていた彼は、満足げに顔を上げる。




「また、やってくれる?」

「何度でもヤってあげますョ」

「…………」



哲…
やっぱこの人、やだかも。




以来、現在に至るまで、私は。

真ちゃんの思い付くままに、いきなり髪を、切られている。



希望を訊かれたことは、一度もない。


~終わり~