「あんまり、気分いいもんじゃねぇしな」


ああいうの、俺向きじゃない気がするけど、あんな女が本気でヤリマンな訳がない。

今までの、そう自称していた女だって、本当は愛されたがっていたのだから。





「…真也」

待って、と。


今まで、俺がどんな女を相手にしようが、止めた事のない哲の、珍しい、戸惑った声。




ちょっと待って。
それされたら……俺………なんか………やだ。




「は?」

「……俺、訊いてくる」

「は!?」


何をだ!?


やっぱりコイツ、馬鹿だ…。

面倒臭がって、マトモに女を見ないから…

真っ当に対等に…向き合った事ねぇから…………





「……………」

「…まぁ………好きにしたら?」

「うん」





やだもー。
哲ったら可愛い。


ああ、走る哲なんか初めて見た。



ほれほれ、早くしねぇと。

もう見えなくなるぞ。




遅咲きだけど、せっかく咲いたんだろうに、相手が悪いってのが、たまらなく不器用で。

いきなり腕を掴んだあいつを目の端に。






「真也」

「お~、来てたの?」




俺は、俺で。
今日も。

こう、する。



だって、男だし?





~終わり~