「佳代子」
哲也は? と、楽屋入り口に現れた佳代子は、エスカレートしたとしか思えない、胸元の広く開いた、服。
ギリギリの、ミニワンピース。
俺はこういう、男受けを勘違いしたような、あからさまな露出をする女、嫌いじゃないけれど。
今まで何をどう見てきたら、哲がこれに引っ掛かると思えるんだ?
あいつは確かに、セックスだけならしてもいい、とは言うけれど。
決して、セクシーな視覚効果で、その気になるわけじゃない。
「哲なら帰ったよ」
「えっ!?」
「明日、予定があるんだとょ」
佳代子は、納得いかない、といった表情に突如。
じわりと諦めの色を、濃く滲ませた。