佳代子は。
郊外から通学してきていた、ちょっとセクシーな。

哲に彼女がいるのかどうか訊いた、その真っ直ぐな好意はあからさまで。

自分をその座につけてくれ、と、ある意味告白、ある意味直談判をした、女。




『セックスだけならしてもいいけど』


と。



今の哲からは、考えられないくらいのセリフは、当時、哲の決め文句のようなものだった。


ショックを受けて、離れていくならいいし、それでいいと言うなら、それでいいし、なんて。




哲は。

モテるけれど、恋はしない、どこか冷めたような男、だった。



………わかんなくないけどさ、そういうの。

面倒くせぇんだろ?