「鷹野さん!」



周りの目が気になりはしたけれど。

雅は、白い息を吐く鷹野を、呼んだ。





「…あ、良かったぁ……来なかったらどうしようかと思った」


サングラスを外して、ほっとしたように笑む顔に、雅の涙腺が緩む。


「…寒い…のにっ」

「うん、ごめんね」



おはよ、って言いに来たんだ。

雅ちゃんてば、あんなメモ置いて行っちゃうから。





「……ごめんなさい」

「…良かった」

雅ちゃん、まだ怒ってなくて。



鷹野は腰をかがめて、雅の額にキスを落とす。

通学に混み合う正門、で。