ねぇ、真ちゃん。


私は、目当ての煙草の箱を探し当てて、中身を抜き出しながら、話し掛ける。




「ちょっ…こっち見ないでよ」

「……だってお前…」



真ちゃんが気にすること、私、わかんなくない。

わかんなくないけど、さ。


手元を見ながら、ぽつぽつ話す。




「……なにしてんのョ」

「悪戯」




ただ単純に、さ。

日常とは違う体験、させて上げられる力のある人がさ。

こんな風に、ちょっと美味しいもの用意してあげる、って…悪くないと思うんだ。

それを、どう受け取るかは、相手次第。


もしかしたら、卑屈な思いに駆られる子もいるかも知れないけれど。

もしかしたら、さ。

憐れみやがって、って思う子もいるかも知れないけれど、さ。







「うわ…黒胡椒!?」

「見ちゃイヤ、恥ずかしい」

「可愛く言ってんじゃねぇ」





今日のチョコレートキャラメル美味しかったなぁ、ってさ。

純粋に、励みにしてくれる子だって、いっぱいいるよ。