通されたキッチンは、食材と、色の海。


あらかた済んでいる、と聞いた通り、冷蔵庫の中には。

すでにスライスされたローストビーフの塊や、クリームチーズ、マリネになった小鯵やらが、ぎっしりと詰まっていた。




「…何人来る…の?」

「大人4、子供28」

「えっ」


子供…28人!?
大人が4人なのに!?



「…そーなのョ」


真ちゃんは、ごまかすように笑うだけで。


だから、子供が喜びそうな感じでよろしく、と。

私にボイル済みのエビの袋を手渡した。


ふと見えた、不機嫌にも似た目に私は。

エプロンを着けながら、じっと真ちゃんの顔を、見つめる。



だって、なんか変なんだもの。

怒ってないのに、そんな匂いがするんだもの。