哲は私に携帯を渡すと。
行ける?、と少し首を傾けた。


私が真ちゃんから聞いたのは。


昨夜、具合がおかしい、と騒ぎ始めた母上様が、あまりにも脳梗塞だと言い張るものだから。

そんな元気な脳梗塞ってアリかょ、と思いつつも、病院に連れて行った、と。

左足が痺れて腰も痛い、と医師に説明したのは、真ちゃんではなく母上様本人。

MRIにも、特に異常はなかったけれど、念のため、安心のため、他の原因を見つけるために、入院することになった。


………とか。




「……ヘルニア…とかかな」

『多分な』



その母上様が、毎年開催しているハロウィンのパーティーが、明日。

なんとかなると思ったけど、通いの家政婦さんの旦那がさっき事故って…とにかくバタバタなんだょ……と真ちゃんは。


料理だけでいいから、タスケテ? と、疲れたような声で、そう言った。