『悪ぃんだけどさぁ、明日、蜜貸してくんねぇ?』


と、そんな真ちゃんから哲に電話があったのは。

哲が、翌日にある友達の結婚式に出席する為にご祝儀を包んでいた、時。




「………なんで」



3度目なんだよな、こいつに包むの、なんて苦笑いしていた哲は、急に声を固くして、そう訊いた。


3度も結婚するなんて、なんてバイタリティのある人なんだろう、と思いながら私は。

破綻の原因全てが、彼の浮気だと聞いて、心底げんなりとしていた。





「え、入院?」


しばらく相槌だけだった哲が、驚いたように声を上げる。


「……あぁ、そう。……え、結局何だったの」



真ちゃんの声が聞こえないから、話の内容はわからないけど。



「なに、明日の仕切り、お前やんの?」




誰かが入院したから、明日の何事かを真ちゃんが仕切ることになったことは、わかった。

多分、それに私の手を借りたいことも。