面倒だ。
積み重ねて来た物を一瞬で崩しやがって。

あのクソ親父、早くくたばれ。


そう思いながらも、ひとつひとつ、ほぐすように丁寧に。

大丈夫だ、と繰り返す。








「で、ずっとこの状態なの?」

「…さっさとなんとかしろ」



深く息をついた凱司と。

帰宅したばかりの鷹野に、貼り付くように抱き付いたまま、ごめんなさい、ごめんなさい、と繰り返す、すっかり笑顔を無くした雅の、姿。





「……好きに…してください」


経緯を聞いて、苦しげに表情を歪ませた鷹野だったけれども。



なんか…
なんだか…。

「…得した気分なんだけど!?」