「…………二度と、掻き回してくれるな」



わざわざ、後ろ手に縛り上げたままの雅を、車に乗せた。

堂々と、本家に乗り入れた凱司はそのまま。

強制的に連れ戻されて、やや機嫌を損ねているだろう父親の前に、雅を引き出した。




「コレは、俺のもんだ。今後、干渉不要。今さっきコレが勝手にしたらしい約束の全てに効はない。約束できる立場に置いてはいない。責は、俺が如何様にも」



淡々と、凱司がそう述べるのを、雅は。

一言も喋るな、の言いつけ通り、口をつぐんだまま、聞いていた。





「……なんだ、興醒めだな」


ねじ込まれた龍司は、可笑しそうに、雅を見る。


「興醒めだが、面白い」

凱司くんが、ただの少年に見える、と。



「面白い存在だ」



なぁ、お嬢さん。

君は鷹野くんに夢中なのに、凱司くんは君から目が離せないらしい。



「お嬢さん」

さっき僕が言ったこと。


あれは全て、凱司くんにも言えてしまう事なのは、忘れない方がいい。