「で!?」


「………ごめ…なさぃ」




泣いてはいない、のだけれども、あまりにも表情のない雅を目の前に。


訳のわからない電話に、眉間にしわを刻んだまま帰宅した、凱司は。

誰かが来ていた形跡のあるテーブルを、睨み付けた。




「……入れるな、と言っただろうが!」


「…ごめんなさい……」

…でもお父さんが、せっかく…プリン…




「プリン如きの誘惑に負けたのか!!!」


「……そ…じゃ…なくて…」

凱司さんと食べたかったプリン、凱司さんが邪険にしたから……

だから…お父さん寂しくて……





「…ああ!? 寂しい、って言えばお前は誰にでも脱いで見せんのか!!」


胸倉を掴む勢いで立たされた雅は、ゆっくり、ゆっくりと、その顔を、泣きそうに歪めた。