「………あの…」



ドアは、開けないまま。

雅はガレージの格子から、そっと声をかけた。

笠島龍司は、そのガレージに寄りかかるように、以前と同じ場所に、座り込んでいた。




「ああ、お嬢さん。やっと顔を見れた」


「………中庭、に…テーブルがあるんです」

良かったら……お茶、淹れますから…。




「…無理しなくていいんだよ?あとで凱司くんにひどい目に遭わされるんだろう?」


おずおずと申し出た雅を、格子の向こうからのぞき込むような目は、やっぱり凱司に似ているけれど。



「あいつは男女関係なく、制裁加えるからなぁ」


「……制裁、ですか?」

「縛り上げて殴るだろ?」

「そんな!!!」



困ったもんだ、と言わんばかりの彼の仕草に。

雅はびっくりしたように、思い切り首を横に振った。