treat or trick!

インターホンの画面越しの、愉しげな、声。



『こんにちは、お嬢さん』


「あ…凱司さんなら……今日はそちらに行く…と…」


『知ってるよ。でも凱司くん、忙しそうだし、僕のこと邪険にするから』




だから、可愛いメイドのお嬢さんに、お茶でも淹れてもらおうと思って、と。

無邪気なような笑顔は、雅に警戒心を抱かせるものでしかなかったけれど。




「…でも………」


絶対に家の中には入れるな、と言われているのには、変わりはない。

特に、前回のさくらんぼのことがあってからは。